こんにちは。文具プランナーのまき(福島槙子)と申します。私は普段、文具の専門家としてメディア出演や情報発信、文具のプロデュースやコンサルティング、セミナー講師などの活動をしており、GoJiaiプロジェクトでは、紙カードなどアナログ部分の開発を担当しています。
GoJiaiでは、手書きで感謝を伝えることにこだわっています。そのためにGoJiai Cardには様々な工夫を凝らしました。

また、日本の美しく品質の高い紙や、すばらしい技術を用いることに重きを置いています。こちらではそのこだわりについてお話しさせてください。
開発のきっかけは、にゃがおかさんの不器用さ
GoJiaiの代表であるにゃがおかさんとは、以前から仲のよい友人でした。

文具を使うのが大好きで、手書きやデコレーションも難なくこなす私とは対照的に、にゃがおかさんは大の不器用。
文具が好きで、文具メーカーに勤めていたのに、文具を使うのがとっても苦手……という彼女。
紙をまっすぐに切ることもできないし、文字を書いたらナナメになってしまうし、大きさもバラバラ……。
いつも「まきちゃん、うまくできないよ~!」と困った様子で私にアドバイスを求めてくる彼女をほほえましく眺めていたのですが、本人としてはとてもジレンマだったようです。

そんな彼女がある日、GoJiaiプロジェクトについて話してくれました。誰もが大切な人に「ありがとう」と手書きで伝えられるサービスをつくりたい、と。
それには、普段文具を使わない人や、自分のように文具を使うのが苦手な人でも手書きカードを完成させられる仕組みをつくらなくちゃいけない、というのです。
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なんでも、彼女はこれまでいろいろな悩みに直面して、毎回カードや手紙を書けずに挫折してきたそう。
「伝えたいことはあるのに、文章にまとめられない」
「カードや便箋に合わせた文章の長さ、文字の大きさがわからない」
「まっすぐきれいに書けない」
「途中で字を間違えて、せっかく買ったカードが使えなくなっちゃった……」
彼女の話を聞いていて、確かに、と思いました。既存の文具たちは、文具を普段から使っている人や、使うのが得意な人であれば使いこなせるけれど、そうでない人にとってはハードルが高いんです。
「こんなカードはどうかなぁ」とにゃがおかさんが頑張ってつくってきてくれた試作品も、正直とても残念な出来栄えで、「そうか、彼女ような人たちにとっては、普通に文具を使うことさえも難しいんだな……」と強く感じました。
「わかった!!! それなら、にゃがおかさんでも書けるカードを私がつくる!!!」
こうして、文具プランナーとしてのGoJiai Cardの開発が始まりました。
普段、文具を使わない人でも書けるカードを目指して
どうすれば、彼女のような文具をうまく使えないぶきっちょさんでも安心して書けるカードになるのか……。
まず、第一関門である「文章の作成」は、アプリとAIを活用することですでに解決していました。アプリに大切な人の情報やその人とのエピソードを入力していけば文章にまとめてくれる仕組みを、もともとにゃがおかさんが考えていたのです。

ですが、その文章をカードに手書きで書く、という部分が一番の難関でした。
市販のカードは、カードに直接書き込むタイプのものが多く、一度書き間違えてしまったらそのカードは使えなくなってしまいます。どうしても書くのに緊張しますし、失敗してせっかく買ったカードが使えなくなってしまうのはとても悲しいものです。

にゃがおかさん自身もよく失敗して、カードをダメにしていたそう。
そこで、「文章を書く部分とカードが別々になっていて、ちゃんと書けたものをカードに貼って送りたい」と彼女は言うのですが……。
書いた紙をカードに貼るのは、とてもよいアイデアだと感じました。
ですが、カードの試作品の出来栄えを見る限り、不器用な彼女ではノリをきれいに塗ったり、シワなくカードに貼ったりすることはできそうにありません。両面テープで貼る……?それもうまくできるかどうかわかりませんし、結局そこで失敗して挫折しそうです。
しかも、ただ白い用紙に書いて貼るだけでは、カードのデザインとしてもあまり美しくありません。
メッセージを書いてから貼るとして、じゃあそれをどうやって組み合わせて、すてきなカードを完成させればいいんだろう……?
そこで私は、これまであまり使われていなかった素材と技術に注目し、ぶきっちょさんでも失敗なく使えるまったく新しい仕組みのカードをつくり上げました。
透ける紙+再剥離加工で新たな仕組みを実現
その仕組みとは、「ほんのり透ける紙にメッセージを書いて、シールのようにはがしてカードに貼る」というものです。
ポイントは「きれいに書けること」と「簡単に貼れること」、そして「完成したカードがすてきなデザインであること」。それらすべてを満たす仕組みを生み出しました。

まず、メッセージ用紙に透ける紙を使用することにしました。
書く時は目安となる下敷きの線が見える状態、下敷きからはがしてカードに貼ったあとは、カードの柄がほんのりと見えてデザインと美しく馴染み、一体化するように設計しました。

一般的に、透け感のある紙はペンでの筆記に向いていないものが多いのですが、今回採用したリンテックさんの「SUKEKAKEラップCoC」という紙は、透け感があってなおかつ筆記特性も高い紙。透ける、けれど快適に書ける紙を探してたどり着きました。ボールペンや万年筆でも書き味がよく、インクも乾きやすくできています。
さて、その透けるメッセージ用紙をどうやってカードに貼り付けよう……ぶきっちょさん用だから、失敗しても修正可能な方法がいいな……。
考えあぐねて、持っている文房具や世の中にある様々な素材や道具を眺めていた時、ひらめいたのが「付箋や弱粘着シールのように下敷き→カード本体へ貼りかえる」というアイデアでした。

この方法であれば、書く時は用紙が下敷きにぴったりと貼り付いているのでずれることなく書きやすいですし、はがしたらカードに貼るだけ。ノリやテープを付ける必要がなく、ワンタッチで貼り付けられます。
しかも、貼る位置に失敗したり、シワが寄ったりしてしまっても、もう一度はがして修正することが可能なんです。テープやシールを使わないので、デザインの邪魔にもなりません。

とはいえ、そんな商品は市販品にはありませんから、どうやってつくればいいのか、つくれる工場はあるのか、いくらあればつくれるのか、それを調べるのもまた一苦労でした。
ですが、これまで様々な文具を使い、かついくつもの商品を企画・プロデュースしてきた知識と経験、そして人脈がここで活かされました。
結果的に、以前からつながりのあったタカクラ印刷さんへ相談・ご依頼し、再剥離ノリ加工をしていただくことになりました。下敷きからはがしやすく、なおかつ、しっかりとカードに貼り付けられるようなノリの強さ、塗布方法をご提案いただき、理想の形に落とし込むことができたのです。
この特殊な紙と技術を使った仕組みこそが、GoJiai Cardの肝となりました。
すべての道具が1セットに

GoJiai Cardは、カードを書くために必要なすべての道具がセットになっています。
カード本体、メッセージ用紙、練習用紙だけでなく、書くためのペン、封筒、シーリングスタンプシール、宛名ラベルまで1セットになっています。あとはご自身のスマートフォンを準備すればOKです。

普段、文房具を使う習慣のない方は、カードを書こうと思っても適したペンや封緘に向くシールを持っていないことが多いはず。
そんな方でもこのセットがあれば、すぐにカードを書き始めることができます。
メッセージを書くのにぴったりのペン
ペンは、ゼブラの「サラサクリップ」というゲルボールペンのブルーブラック、ボール径は0.7㎜のものをセットにしました。

サラサクリップは、サラサラとなめらかに書け、インクが濃くきれいに発色する人気のボールペン。私も普段から愛用しています。
インクカラーは一般的な黒ではなく、メッセージにニュアンスを添えてくれるブルーブラックを選びました。黒よりも少し優しい雰囲気の文字が書け、カードデザインとも美しく調和します。

一般的なボールペンよりも少し太めの文字が書ける0.7㎜にしたのは、カードにメッセージを書くのにぴったりだから。
カードには手帳やノートに書く時よりも少し大きめの文字を書くので、やや太めに書けるボールペンが合うのです。細いボールペンでメッセージを書くと頼りない印象になりがちですが、このボールペンで書けば安定感があり、しっかりと気持ちのこもったメッセージが書けます。
GoJiai の世界を表現する紙
カードの外側や封筒には紙の専門商社・竹尾さんが企画した「い織り-FS」という上品なエンボス加工紙を使用しました。
こちらは小屋や茶室(=庵・いおり)に見られる土壁などの自然素材を用いた素朴な壁の質感をイメージしたファインペーパー。独特の凹凸があり、高級感のある見た目と心地よい手触りが特長です。

当初、にゃがおかさんから「人生の財産になるようなカードにしたい」というコンセプトが提示され、それを実現できる紙を探して様々な紙をひたすら見比べては試作することを繰り返していました。
人生の財産になるということは、長い間大切に保管し、何度も開いて読み返す、宝物のようなカードになるということ。
それなら丈夫でなければいけないし、かといって厚すぎる紙では二つ折りにした時のおさまりがよくない……。
カラーは落ち着いた、深みのある色、かつ温もりのあるものがいい……色だけでなく、紙の風合いも重要だけど、平滑な紙がいいのか、エンボスがある紙がいいのか、それともいっそキラキラした紙がいいのか……。
コスト面よりも、コンセプトを大切にして最高の紙を選びたい!
そんな風に考えながら、様々なタイプの紙でつくったプロトタイプをひたすら見比べ、実際に使ってみて、検討を重ねました。

「い織り-FS」の「極・焦茶」は色合いに惹かれ、初期段階から候補のひとつとなっていましたが、最終的な決め手となったのは表面のエンボス加工です。
和の雰囲気を感じられる、けれど和風に寄り過ぎず多様なデザインにマッチする適度な凹凸が見た目にとても美しかったのはもちろんのこと、何度も触れて読み返すカードだからこそ、手の汚れやハンドクリームなどの油分がついてしまっても目立ちづらいことがポイントとなりました。
実際に濃いブラウンカラーの紙でいくつものプロトタイプを使ってみると、平滑な紙であるほど指紋や油汚れが目立ちやすいことがわかりました。
かといって、エンボスが強すぎるとプロダクト全体のイメージが変わってしまう。「い織り-FS」の絶妙なエンボスはどちらもクリアした、まさに理想の質感の紙だったのです。

深みのあるブラウンカラーはゴールドの箔押しや、GoJiaiのロゴカラーであるグリーンとの相性もよく、品格のあるカードが完成しました。同じ紙で作成した封筒に入れ、グリーンカラーのシーリングスタンプシールで封をすれば、特別なありがとうカードができあがります。
また、GoJiai Card一式が入っているボックスや、ブランドブックの表紙にも同じ紙を使用しています。
「文具についてはよくわからないけれど、こんな風にしたい!」という明確なビジョンを持つにゃがおかさんのオーダーに応えるため、文具プランナーとしての矜持を持って、妥協せず選び抜いた「い織り-FS」。まさにGoJiaiの世界観を象徴する紙となりました。
高級感のある外側と華やかな内側で、驚きと感動を届ける

GoJiai Cardの外側は濃いブラウンのい織りでまとめやシックな見た目ですが、カードを開くとメッセージとともに鮮やかな色、様々な柄のデザインが現れます。

カードを受け取って開くまでの落ち着いた雰囲気と、カードを開いたときの華やかな雰囲気。その良い意味でのギャップが、受け取った時の感動をさらに大きなものにしてくれます。
また、市販のカードは外側のデザインがかわいらしいもの、華やかなものが多く、派手すぎてちょっと使いづらい……と感じていた方も多いはずです。
ですが、GoJiai Cardの外側は極力シンプルでシックなデザイン。老若男女問わず使いやすくなっています。

内側のデザインは、今後様々なテイストのものを追加していく予定です。ぜひ送る相手の好きな色やモチーフを選んでみてくださいね。
日本の美しく優れた素材と技術を用いて
メッセージ用紙に使用した「SUKEKAKEラップCoC」も、カードや封筒の「い織り-FS」も、ボールペン「サラサクリップ」も、日本のメーカーが優れた技術でつくり上げたものです。
長年にわたって受け継がれてきた技術を大切にし、妥協せず研究・開発を続ける日本のメーカーだからこそ生まれた紙や文具を、GoJiaiでは大切にしています。
また、メッセージ用紙の再剝離加工や、カードの合紙加工、印刷・製本加工、封筒の加工、貼箱の加工、箔押し加工など、すべてプロフェッショナルな技術を有する会社や工場へ発注し、高い品質を維持しています。
付属のシーリングスタンプステッカーは、ひとつひとつシーリングワックスを溶かしてスタンプし、心を込めて手作りしています。自分でシーリングスタンプの道具を準備するのは大変ですが、このシーリングスタンプステッカーを使えば気軽に同じ雰囲気を体験できます。
日本の高品質な素材や道具、高い技術力、丁寧な作業、それぞれが合わさって、GoJiai Cardは出来上がっています。
隅々までこだわりを詰め込んだGoJiai Cardと、「ありがとうの気持ちを込めた手書きカードを送りたい」というあなたの想いが合わされば、必ず素敵なカードが完成するはずです。
ぜひ一緒に「ありがとう」を送って残せる人生を歩んでいきましょう。
文具プランナー 福島槙子